足場について解説・種類と使い方、安全第一と資格

建設や工事の現場では、高いところで作業するために足場を組みます。この記事では、足場の種類と使い方、また安全策や資格について解説していきます。現場において安定して作業を行うためには、正しく足場を設置し、安全第一の意識を現場で作業するスタッフ全員で共有する必要があります。その中心人物が「建築物等の鉄骨組立て等作業主任者」です。

足場とは

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足場は、主に金属製の資材で組まれます。いくつかの種類があり、地面から上方向に組み立てられる「組立足場」と、建物などの屋上や構造などから吊り下げる「吊足場」の2種類が代表的なものです。

組立足場

組立足場は、もっともベーシックな足場と言ってもいいでしょう。単管足場や枠組足場などに細分されます。

単管足場

単管足場は、単管と呼ばれる直径48.6mmの鉄製パイプで組み立てる足場のことです。ビルの隙間などのような狭い場所にも設置しやすいため、比較的小さな工事によく使われます。パイプの種類やサイズが多く、設置もかんたんな足場です。

枠組足場

2階建て程度の、それほどの高さではない場所で作業するのに向く足場です。タワー型に組んで、移動式の足場としても使えます。

丸太足場

丸太足場は、間伐材を使用する足場で、日本でも以前はよく使われていました。金属製の足場は確実に組み立てることで、強度が担保されますが、丸太の場合は弾力があるため、組立の際に自由度があることが特徴です。剛性を考えると金属の足場には劣りますが、複雑な形状の場所でも組み立てられるため、現場によっては現在でも丸太足場を使う場合があります。

張り出し足場

張り出し足場は、建物の途中に張出材を設置し、そこから上方向に組み立てる足場のことです。となりの建物との間に足場を組むほどの隙間がない場合などに用いられます。

竹の足場

東南アジアなど一部の地域では、竹の足場が現在も使われています。東南アジアは湿気が多いため竹が使用されてきたという経緯はありますが、やはり費用面が重視されていることは否めません。

くさび緊結式足場

くさび緊結式足場は、やはりスペースの限られる現場で使われることの多い足場です。組立てや組み替えがかんたんで、複雑な形の場所にも対応可能。低層住宅などの工事用の足場でしたが、汎用性の高さから最近は中高層建築にも採用されています。

ブラケット一側足場

ブラケット一側(ひとかわ)足場は、建地にブラケットを設置し、その上に足場板を敷いたもの。「ビケ足場」とも呼ばれ、やはりスペースが限られる場所でよく使われます。

吊足場

吊足場は、その名のとおり、屋根など建造物の上部から吊り下げるタイプの足場です。高層建築のほか、高架や橋梁工事などの現場でよく使用されます。

吊り棚足場

吊り棚足場は、吊足場の一種で、チェーンやクランプにより、建造物から吊り下げるように組み立てる足場です。高架や橋梁など、地上からでは足場を組むことが難しい場所に設置されます。

可搬型ゴンドラ

可搬型ゴンドラは、高層ビルなどの窓掃除によく利用されている足場です。ビル屋上からワイヤロープで足場を吊り下げます。足場部分(作業床)には、ワイヤロープを巻き上げる機械が付いていて、上下の移動はこれにより行います。地面から組み立てていく組立足場は、部外者の侵入対策が課題ですが、この可搬型ゴンドラならそのような問題はありません。しかし、風の強い日には作業できないという弱点もあります。昇降と横移動ができる常設型のゴンドラも普及しています。

移動昇降式足場

組立足場と吊足場、そのどちらとも異なる足場もあります。それが移動昇降式足場。昇降用マストを利用することにより垂直方向に移動が可能な足場は、高層の建物でも使えて、防犯面でも効果的。屋上から吊り下げるゴンドラよりも安定性があり、風に比較的強いことも特徴です。ただ、複雑な形状の建物には向きません。

足場の安全・転落や墜落事故を防ぐ

建設業における死亡者が発生した労災で、もっとも件数が多いのは足場からの転落・墜落事故です。このような事故を防ぐためにはどんな対策をとる必要があるのでしょうか?

安全第一がすべて

安全第一は、すべての現場において徹底されなければならないことです。しかし、作業効率を追い求めるばかりに安全を軽視している現場があることも否定はできません。仕事が少しでもはかどるように工夫することは大切なことでも、それが安全を脅かすものではNGです。現場で働く作業者すべてが、同じ安全マインドを持って働くことが大切です。そのためには、日頃からトレーニングや勉強会などの機会を設けるといいでしょう。

足場の組立てや解体に必要な資格

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足場はとび職が組み立てます。とび職は高所作業のプロフェッショナルとして皆様ご存知かと思いますが、足場を組み立てるとび職は「足場とび」で、高所作業の中でも足場関連の仕事を専門的に行う人たちです。

とび技能士の資格

とび職は国家が認定する国家資格です。1級から3級まであり、それぞれ技能試験に合格すると、「とび技能士○級(とび職)」と名乗れるようになります。とび技能士の資格試験は、3級以外は実技試験となり、「仮設の建設物の組立てや解体」「掘削」「作業の段取り」などの実技を行い、その結果で合否を判断。2級以上は、受験資格として実務経験が求められますが、学歴により一部の試験が免除される場合もあります。

足場の組立て等作業主任者の資格

足場の組立てや解体を行うのは足場とびですが、足場に関わる資格として重要な資格として「足場の組立て等作業主任者」があります。足場の組立てや解体は、法に基づいて行う必要がありますが、高さ5メートル以上の足場、吊足場(ゴンドラ除く)、張り出し足場の組立てと解体、などを行う場合、足場の組立て等作業主任者を割り当てなければ工事ができないのです。
足場の組立て等作業主任者講習を受講し、学科試験に合格すると得ることができる、足場関連ではキャリアアップにつながる資格です。建築現場のみならず、イベントの会場設営、屋外広告の設置などでも必要とされますので、将来的にも足場の世界で生きていこうと考えている人は、現場での経験を積みながら受験準備を進めてみてはいかがでしょうか。
学校での専攻、年齢により受験科目一部免除の特典があり、とび技能検定合格者にも同様の特典があります。「建築物等の鉄骨組立て等作業主任者」の資格も同時に取得可能です。

足場作業の安全を守るためにできること

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日本の建設業全体では、1年に100人以上の作業者がなんらかの事故により命を落としているのが現状です。その内、転落事故の割合は半分近くになっていて、業界全体の大きな課題となっています。ただ、事故の中には転落事故防止対策がとられていないなど、ずさんな現場管理により死亡者が出ていることもあり、本来ならば防げたはずの事故なのです。国も平成27年に、足場に関する法の改正を行い、これにより転落事故対策を強化しています。



足場の種類と使い方、安全第一と資格・まとめ

足場の種類や使い方、安全面と資格についてご紹介してきました。足場にはさまざまな種類があり、現場の状況に応じて適切なものを選ぶことで、作業を安全に、効率的に進めることができます。足場の組立て等作業主任者は、とび技能士と共に需要の多い資格です。足場の世界で仕事をしていくのであれば、キャリアアップの望めるこの資格を目指すといいでしょう。